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美容成分は、肌の上から浸透するの?

化粧水や美容液などには、ビタミンCやコラーゲン、ヒアルロン酸などの美容成分が含まれているものが多くありますが、美容成分を肌の上から肌内部に浸透させる事は可能なのでしょうか。

肌への浸透は、分子量が小さい必要がある

基本的に、人の肌は外部からの侵入を防ぐ為の強固なバリア機能を持っているため、肌の内部に成分を浸透させるためには、肌のバリア機能をすり抜ける必要があります。

バリア機能をすり抜けるための一つの指標が、分子量という物質の大きさです。
肌は沢山の細胞などが重なって作られているものですので、そこには少なからず隙間があります。この隙間よりも小さい物質であれば肌の内部に侵入が可能であり、大きければ侵入は不可能という事になります。

肌のバリアを通過するには、分子量600~700が限界だといわれています。
分子量がこれより小さいものとしては、例えばビタミンC誘導体であるアスコルビルリン酸Naという物質が分子量約358であったり、ビタミンAであるレチノールが分子量約286となりますので、これらの物質はバリアをすり抜ける可能性があります。

一方、コラーゲンは分子量が10万以上、ヒアルロン酸は分子量が100万以上となるので、これらの成分は肌のバリアを通過する事は出来ません。そのため、肌内部に浸透させる事を目的とするのではなく、肌表面に塗って保湿させる事を目的とした使い方をする必要があります。
ただし、コラーゲンについては低分子化という処理を行う事で、分子量を500程度まで小さくする事が可能であり、低分子化されたコラーゲンであれば肌のバリアを通過させる事は可能になります。

水溶性より、脂溶性が浸透しやすい

肌のバリアを通過するためには、成分の性質にも影響されます。

基本的に人の肌は皮脂などの油膜によって覆われていたり、表皮細胞と表皮細胞の隙間は細胞間脂質という脂の性質のもので埋められているため、水溶性の成分ははじかれやすくなります(水と油の関係)。

そのため、例えば水は分子量が18と小さいものですが、肌には殆ど浸透しません。

美容成分であれば、ビタミンAやEは元々脂溶性のため浸透しやすいのですが、ビタミンCは水溶性です。そのため、誘導体にする際に脂溶性に近づけて、肌に浸透しやすくするなどの工夫がされています。

浸透はしても、体内のものと置き換わるわけではない

美容成分を肌に浸透させる事で、間違ってはならないのが、浸透した美容成分は、体の中で作られたものと同じ働きをするわけではないという事です。

例えば、コラーゲンは低分子化により肌のバリアを通過する事は可能となりますが、肌に浸透しても、真皮層にあるコラーゲンと同じ役割をするわけではありません。

真皮層で肌の弾力を保つ役割をするコラーゲンは、基本的に線維芽細胞によって作られたものだけであり、外部から入ってきたものが同じ役割をする事はまずありません。
これは美容成分として浸透させた場合に限らず、注射などで注入した場合も同様で、一時的にはその場にとどまりますが、時間と共に分解されて吸収されてしまう事になります。
そのため、コラーゲンを外部から浸透させた場合、基本的に真皮のハリを作る事にはならず、保湿の役割を持つものとなります。

同様に、ヒアルロン酸などは年齢と共に減少する成分ですが、注射で肌内部に注入してもそれを補う事はできません。

化粧品などで良く真皮に浸透していくような表現が見られますが、この点には注意する必要があります。

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