花粉症の救世主？　舌下免疫療法でアレルギーを緩和

花粉症を改善する治療は、大きく分けて
・薬などでアレルギー症状を抑える
・症状が出る部位をレーザーで焼く等で、緩和する
・免疫療法によってアレルギー反応を弱める
の3種類ですが、このうち症状を元から改善する事が出来るのは免疫療法のみ。
しかし、この免疫療法は従来、注射によってアレルゲン（スギ花粉）が含まれた注射液を注射し、徐々に濃度を上げていく事で体をアレルゲンに慣れさせて症状を弱める方法となっていて、定期的に通院をする手間や注射自体の負担などがあるため、なかなか継続が難しい状態でした。

舌下免疫療法なら手軽に花粉症治療が出来る！

そんな大変だった免疫療法が一気に変わったのが、2014年に認可された舌下免疫療法です。
舌下免疫療法とは名前の通り、舌の下からゆっくりと吸収するタイプの「シダトレン」という薬を利用する事で、注射を行うのと同じように体をアレルゲンに慣れさせていき、花粉症の症状を弱める方法です。
薬は舌下から吸収させるので、水などで飲み込む薬ではなく液体の薬を舌下で2分間程度放置しておき、その後飲み込むという流れになります。

注射の場合は徐々に濃度を上げていきますが、こちらは薬なので徐々に量を増やしていく事で対応していきます。

この方法が何故画期的かというと、それは通院があまり必要無くなるという点です。
注射の場合は基本的に通院して医師または看護師から行う必要がありますが、薬の場合は一度病院で処方さえしてもらえば、あとは薬が無くなる前のタイミングで通うだけで十分になりますので、圧倒的に負担が軽減されます。

また、舌下免疫療法は保険適用が可能ですのでコストの面でも安心。大体一月に3000円未満で治療が可能です。

花粉症の舌下免疫療法に関する注意点

花粉症が100%治療できるわけではない

効果については100%全員が完治するというものでは無い事が注意点の一つ。
免疫療法は体質を変えていく治療法ですので、人によって合う合わないがはっきりと出てしまうのです。

現在までの臨床では、およそ20%程度が花粉症が治り、10～20%程度の方には効果無し。残りの人が、程度に差はあれ改善したと感じるレベルという話もあり、そもそも花粉症にも色々な種類があるため、完全に治すのはまだまだ難しいというのが実情のようです。

花粉が飛んでいない時期にでないと治療が行えない

治療が行える期間については花粉が飛散している時期以外。治療開始の目安が大体6月から11月中旬頃となります。
というのも、この薬は花粉から抽出された成分をわざわざ体内に取り込んで慣れさせるという治療方法ですので、そもそも花粉症が酷い時期に治療を行っても効果が無いどころか単純に悪化させる場合があるためです。

また、アレルゲンを取り入れる治療方法ですので、アナフィシラキーショックなどの副作用も可能性があります。アナフィシラキ―とは強いアレルギー反応の事で、有名なところでいえばスズメバチに刺されると抗体が出来るため、2回目に刺された時に重篤な症状を引き起こしやすいというものなどがあります。
もちろんこの治療は医師の監督の元に行うものですので、基本的には安全に行えますし、そもそも重篤な症状になるほどの成分にはなっていないため現在までの所問題は起きていないのですが、かゆみなどの軽い症状が発生する可能性は十分にありますので、注意が必要です。

回数は減っても通院は必要

最後に、舌下免疫療法は今までの注射治療と比べると格段に負担が少ない治療方法ではありますが、それでも大体1か月に一度。治療を開始したばかりの頃はもっと短いスパンで通院を行う必要がでてきます。
また、薬自体はやや甘みがある程度の飲みやすいものですが、それでも毎日服用し続ける必要がありますし、治療の期間も短期間で完了するものではないため、根気よく継続する必要があります。

もはや国民病ともいえる花粉症ですが、治療できる可能性も高まってきていますので、症状が強く悩んでいる方は是非一度検討してみてはいかがでしょうか。